勝った国の真珠湾
30th Nov.2002
「パールハーバー」を鑑賞。あまり観たくない映画だったが、観ないことには感想も書けない。
パールハーバーといえば、日米合作の「トラトラトラ」という映画があるが、「トラトラトラ」が史実に忠実に、かつ、日本とアメリカ両国に比較的公平な視線で、真珠湾攻撃を描いていたのに対して、「パールハーバー」は日本に対する偏見が後退したんじゃないかと思わせる程、悪役として描かれている。
確かに戦闘シーンは迫力あってすごい。それでも戦闘シーンなら「バンド・オブ・ブラザーズ」の方が、はるかにリアリティーと重厚感で勝っている。それに日本海軍フェチのまりのえには、細かい点が許せない。
まず、軍艦の種類が違う。真珠湾内にいた船が、現代のアメリカ艦なのは、CG作る予算がなかったせい? ついでに東京空襲のホーネットも、現代の空母で代用するなっちゅうの。そのへんの手抜きが、なんだかな〜って感じ。
第一、真珠湾でハワイから飛び立ったアメリカの迎撃機は、みんな撃墜されたはずだ。P-40戦闘機が零戦とタイマンはって、勝てるわけがない。
東京空襲をやったB-24が、あんな低空飛行で爆撃するわけない。それに戦果は皆無に等しかった筈。
でも、いちばん許せないのは「どうして主人公には弾が当たらないの?」ってこと(笑)。まあ、それを言っちゃおしまいなんだけど、あまりにもご都合主義。でもいちばん納得いかなかったのは、あまりにも恋愛を描くことにかまけすぎて、史実としての重みがまったくないってことだ。
「タイタニック」では歴史の検証に膨大な時間と手間をかけているため、恋愛のバックグラウンドにリアリティーがあって、お話しにはまり込むことができた。でもパールハーバーは「運命が変わった」って言われても、説得力が全然なくて、カルいんだな〜。「戦死した筈の親友の彼女を慰めるうちに恋に落ちて、戦死した親友が帰って来た」なんてストーリーも、あまりに陳腐でありきたり。
結局「パールハーバー」はドキュメント映画として観てはいけない。これは恋愛(それも三流の)映画でしかない。
もうひとつ、この映画の焦点がボヤけた理由のひとつとして、真珠湾で終わらずに、東京空襲まで話しを伸ばしたことだ。
「報復と勝利」
このふたつのテーマは、やっぱりアメリカ人のお好みなんだねえ。実に単純。
まあ、日本人が観て、やっぱり気分のいい映画じゃないことは、確かかな?
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