数日前に心配された天気も、黄砂はかかっているものの、すっかり五月晴れ。 今日は絶好の運動会日和になった。
朝9時から今日撮影に行った小学校の運動会はスタート。挨拶、校歌斉唱、準備運動と続き、さあこれから競技という時、校長先生がおもむろにグラウンドの真ん中にマイクを持って立った。
悪い予感。
事前に聞かされていた懸念が、実際に起こったのかもしれない。
「只今、北九州市に光化学スモッグ注意報が発令されました。
それにより、今日の運動会は延期致します」
校長先生は残念そうに宣言した。
他のカメラマンさんの話等によれば、今日は北九州市のかなりの小学校の運動会が中止になったらしい。
雨で中止ならまだ天気を怨めるが、光化学スモッグで中止だなんて、そのやるせない気持ちをどこにぶつければいいのだろう。
先月、若松と八幡に10年振りに注意報が発令されて以降、今、北九州市は度々光化学スモッグに見舞われている。
光化学スモッグは、工場や自動車の排気ガスなどに含まれる窒素酸化物や炭化水素(揮発性有機化合物)が日光に含まれる紫外線の影響で光化学反応をおこし、それにより生成する有害な光化学オキシダント(オゾンやアルデヒドなど)が空中に停留しスモッグ状になる現象で、風の弱い晴れた暑い日に発生しやすい。(Wikipediaより)
かつて「公害都市」と呼ばれた北九州市では、日常茶飯事に光化学スモッグが発生し、校庭に出ていた児童や生徒が気分が悪くなったり、痙攣を起こしたりする程だった。
しかし、行政と企業、市民の努力で、北九州市は「環境首都」といわれる程、公害を克服してきた。
ピーク時では「七色の空」と呼ばれる程汚染が酷かった空も、今ではすっかり綺麗になり、汚染の象徴だった洞海湾も、水泳ができるまでになったくらいだ。
今回の光化学スモッグの原因は、中国での公害や大気汚染。
北九州市が大気汚染に悩まされていた30年前は、公害は比較的局地的な問題だったが、21世紀になった今、公害はすでに国境を越えて広がりをみせているのだ。
日本は日頃、他国の事情を実感する事が少ない島国だけに、中国からの大気汚染は改めて「世界はひとつ」という事実を感じさせられる。
運動会が中止と決まった時、子供達は一様に「え〜〜っ!」と声を上げて落胆し、空を仰いだ。
北九州市には「環境首都」の名前に恥じる事なく、環境を守る気持ちを啓蒙し、公害防止技術を中国をはじめとする全世界に広めてほしいものだ。
そして光化学スモッグなんかで、子供達の楽しみが奪われる事が、再び三たびない様にしなければ。