イラスト日記

2000年 4月

DIARY INDEX


エイプリルフール

1st Apr.2000

今年はインフルエンザの真っ最中に4月を迎えた。
一日中静養を心掛けたので、今年もイケてる嘘はつけないで終わった。


エリアeye北九州

3rd Apr.2000

打ち合わせで某デザイン事務所に行ったところ、「A君(本名)。あんた有名人やねえ」と、前振りもなく言われる。
聞けば今日の朝日新聞に先月紫川で新聞記者が撮った写真が載っていたらしい。カラー写真入りでトップ記事だ。
そう言えば先々週位に電話取材があって「今度載ります」とは言っていたけど、それからだいぶたつのでボツったと思っていた。
どうやら新年度に合わせて紙面刷新の「エリアeye北九州」という新企画の第1回目らしい。
『彼のホームページを訪ねた。企業や行政の依頼で描いてきた数々の作品とともに、
女性の美しいイラストやポートレートに巡り会った』等と書かれて面映いものの、まんざらでもない気分。
新聞というメディアでは、ぼくの活動はこう表現されるんだなあと、改めて認識。


Shall we dance

4th Apr.2000


去年は運動不足とシェイプアップのために水泳をやっていたが時間が合わずさぼりがちだった。
だが健康のためにも運動がしたくて、今日から北九州パレスの社交ダンス講座に通うことにした。
今回の講座を決める上では、事前にいろいろな教室や講座を見て回った。
某会館の講座は平均年令が60歳以上というシルバーダンス。ぼくのダンスの目的は体力づくりのためなので
チンタラ踊っていては運動にならないし、自分のペースで踊るとパートナーが心臓マヒを起こす恐れもあるのでここはパス。
本格的な教室もあったが受講料が高く、別に選手権を目指しているわけでもないのでこれもパス。
結局受講料が安くメンバーも比較的若い北九州パレスを利用することにした。
とりあえず初級を受講してそこの雰囲気に慣れた後、中級に進む予定だが、さすがに初級のステップは退屈だった。

社交ダンスを知らない人のための、社交ダンスの基本的知識。
1、社交ダンスは男女一対になって踊るダンスである。
2、種目はモダンダンス5種目、ラテンダンス5種目にわけられる。
3、モダンダンス、なかでも(ウインナー)ワルツは最高の形式美を誇るダンスで
  ヨーロッパ社交界の伝統文化の最高峰のひとつである。

社交ダンスのマナー
その1。身だしなみを清潔に。事前に歯を磨いておくくらいの気配りは必要。
その2。同じパートナーを独占してはいけない。例え恋人夫婦であっても別の相手と踊ること。
その3。女性同士で踊ってもいいが男同士では踊ってはならない。
その4。パーティの最初と最後はエスコートした相手と踊ること。
いずれにしても社交ダンスは男女の接触で成り立つダンスだから、『へっへっへ。女の子に触れる』等と
いかがわしい気持ちで踊っていては、相手に見すかされて嫌われるのがオチである。
ところで、いかがわしい代表の様にいわれるチークダンスも立派にステップがあるのを知ってますか?
あれもちゃんとしたダンスの種目のひとつなのだ。習いたい人はメールでぼく宛に…(^^)


コンペ

5th Apr.2000

今日は大失敗をしてしまった。
昨夜コンペ用のCFコンテの依頼があってその打ち合わせをし、
やはりその日にコンテの依頼が別の会社からもあって今朝その打ち合わせに行ったのだが、同じコンペだったのだ。
電話でクライアントを聞いておかなかったのは迂闊だった。
例え時間的にどちらもこなせる余裕があっても、コンペで二股かけるのはやはり仁義に欠けてしまう。
今さら断ることもできず、今回だけはどちらにも内緒でやりとおすことにしたが、う〜ん。罪悪感。


河童の湯

7th Apr.2000

先週から今週にかけてはだんご状態で仕事が重なり、まったく息つく暇もない程の忙しさ。
おかげで一昨夜に続いて昨夜も徹夜するはめになる。
連続徹夜は久し振り。ほんとはあんまりやりたい技ではないんだけどね。
「このイラストはパスで描いて」とイラストレーターでの入稿をリクエストされたおかげで、数倍の時間がかかってしまった。
データでのイラスト描きは修正は比較的簡単だけど、その分描くのは時間がかかる。
特にベジェ曲線を使うイラストレーターは、手間の割に見栄えのしないイラストになるのでしんどい。
夜にはようやく解放され、以前折り込みチラシの入っていた直方の河童の湯に行ってみる。
露天温泉や家族風呂なんかがたくさんあったものの「銭湯の豪華版」という印象で、やっぱ温泉といえば秘湯だろう。


ちりそめ

9th Apr.2000

今年の桜は咲きはじめまではゆっくりだったが、いったん咲いてしまうとあっという間にちりそめになってしまい、
ちょうど修羅場と重なったので、花見もできずに終わってしまった。
仕事をしながら窓の外を見ると、ひらひらと桜の花びらが雪のように舞っている。なんだか無念。
木蓮も撮りそこなったし菜の花もまだ撮ってないし、桜もこのざま。
最近季節の移ろいにほんとに鈍感になっている気がする。
机の前にしがみついたまま、季節だけが駆け足で遠ざかる。むなしい。


ネーム

11th Apr.2000

長かった修羅場もようやく一息つき、今日は同人誌に描くまんがのネームをやった。
最初は珍しく家族ネタを描こうと思っていたが、例の新潟少女監禁事件以来、監禁物が描きたくてテーマを変更。
いずれPRESENTs3でお目にかけられると思うが、現在鋭意ネーム中。


ネームその2

14th Apr.2000

ネームがあがった。 …つまらない。
読み返してみると、おもしろくもなんともない。われながら全然いけてないな〜と落胆。
それでも締め切りが迫って(過ぎて)いるので今さらテーマを変えることもできず、このまま突っ走ることにする。
自分の描くマンガはどれもつまらない。(だからいつまでたってもデビューできない)
それでもやっぱりマンガを描きたいから『おおイケてる! このマンガ最高っすね〜!』と自分に暗示をかけて
とりあえず脇目もふらず突っ走って、一気に仕上げる。エスプレッソ型マンガ描きだ。
あちこち目移りしだすと、自分の作品のアラが目立って描く気が失せるのだ。
今回はとりあえずロリータ系の美少女監禁物が描きたいということで、他人様が面白い面白くないの判定は無視することに。
とにかく自己満足の作品を目指そう!


タイタニック(1943ドイツ版)

16th Apr.2000

BS2でタイタニックが放映されたので鑑賞する。
タイタニックは各国で数回映画やドラマが製作されているが、今回のは1943年製作のドイツ映画だった。
ん? 1943年のドイツといえば第2次世界大戦でタイタニックのイギリスとは戦争中のはず。
それがどうして敵国の事件を扱った映画を作るのか? …という疑問は映画を見始めてすぐ解決。
タイタニックで繰り広げられる虚飾に満ちた社交界。愚かな船主。名誉にかられた船長。無能な船員。
そして英国が誇る豪華客船が沈没の憂き目を見るというシチュエーションが、イギリスをからかうには
もってこいだったのかも知れない。なんのこたない、1943年ドイツ版タイタニックは戦意高揚映画だったのだ。
その証拠に唯一理性的で氷山の警鐘を鳴らし、しかも最後は美女をものにするという
おいしいとこ総取りの主人公はドイツ人の船員なのだ。
だが、そういう戦時色をさっ引いても、スピーディな展開に的確な伏線。ダイナミックな画面は古さを感じさせない出来。
それに男が格好いい! 紳士とはかくあるべきという見本のような格調の高さだ。女性の睫毛の長さも驚異的かも。
そういえばアメリカコミックの「トムとジェリー」でアカデミー賞を受賞した作品に「台所戦争」というのがあるが
これなんかもモロに戦意高揚映画だった。日本も円谷英二が特撮した「マレー沖海戦」なんてのも作ってるし
どこの国でも国民を戦争に駆り立てるため、為政者はあの手この手で挑発してくる。
可哀想なのはそれに踊らされる無知な国民。いつの時代のどこの国民も、為政者の吹く笛に踊らされてしまう。
バブルの時がまさにそれ。
ぼくは政府が盛んに国民に「金を使え! もっと投機しろ!」と言っていたのを思い出す。
そういう片寄った政策を批判しなきゃいけない立場のマスコミさえも、「マネーゲーム」のような企画を盛んに立てて
政府の片棒担いでいたのを、ぼくは憶えている。
政治も流行もファッション。ファッションはファッショ。
大きな流れに逆らって生きられる人間は少ない。もっと賢くならなきゃね。


奇跡の人

17th Apr.2000

2夜連続のクラシックシネマ鑑賞。今夜は1963年アメリカ製作の「奇蹟の人」だ。
ガラスの仮面でパティー・デュークがヘレン・ケラーを演じた奇蹟の人が引き合いに出されていて
一度見てみたいと思っていたが、今回の映画は見事にビンゴ。噂にたがわない名作と名演技だった。
食卓でヘレンを躾けようとするサリバン先生と、それに歯向かうヘレンの争いのシーンはまさに圧巻。
最後のヘレンが言葉に目覚めるシーンでは、涙さえ出てきた。
だけど、美内すずえ先生もこの映画見て「ガラかめ」描いたのかと思うと、ちょっと笑えてしまう。
だってギャグやポーズなんかそのまんまのものがあるんだもん。
やっぱ、お気に入りのマンガのもとネタ作品なんかは、見ない方が幸せかも。


実験号

20th Apr.2000

突然本が作りたくなった。
逃避ではない。新カラーコピーとコントローラの実力がなんぼのもんか、試したくなったのだ。
今までコピー本は多々出してきた、Macでデザインした本もかなりあるが、100%データで作った本はまだない。
挑戦しようと何度も思ったが現実のハード環境を考えると、無理があって断念してきた。
総てのマンガ原稿をスキャンしてデータにするだけでも膨大なデータ量になるのに、
それを出力するのは画質と所要時間の面でかなり無理があるからだ。
だが今のコピー機ならそれらのハードルをクリアできるだろうし、やっぱデザインしたイメージ通りに本にするには
直接出力するのがベストだ。
原稿はすでに他誌に描き散らかしている短編を使う予定で、ちょっとは書き下ろしも入れようと思っている。


プリント誌

28th Apr.2000

本の製作作業に入ってからは、仕事と編集でコンピュータ漬け。日記を更新する暇もなくブランクあけてしまった。
だけど予定通りに本が完成して、久々の達成感を今味わっている。
「コピー誌」という呼び名はこの本にはあてはまらない。
なぜならぼくは一度もコピー機の原稿台に触ってないからだ。
トンボ1mm以内の誤差でプリントアウトでき、断ち切りに画像欠けもなく完璧な出来。(誤字があったのが残念)
まあ、欲を言えば解像度がもう少し進化して高くなれば、トーンのモアレも減るし線のジャギも目立たなくなるか。
それにしてもパーソナルでここまで完成度の高い本が出せるようになったとは
磨悠子さんがつけたコピー機のニックネームの通りまさに「同人天国」である。
本は4月30日の福岡でのイベントでお目見えするので、お楽しみに!


イベントの歴史

30th Apr.2000

今日はお久し振りのイベント。姫を伴って(いえ、お供で)出掛けた。
かつて「コミックスペース2000」は九州一大きなイベントで、たいていその年の最高売り上げを記録していたものだが
ドームでイベントをするようになって以来、年々衰退している感があり寂しい限り。
今日も苦労して新刊を出したというのに売れ行きはさっぱりで残念。
同人も創作系はこれまた参加サークルが減って廃れていくばかりで、健全な少女マンガ系の「Dessinateur/PRESENTs」は
結構厳しい状況にるかも。あの手この手で売り上げを伸ばそうとしてるんだが、尻すぼみなのが現状だ。
「水は低きに流れる」という諺があるが、同人界の動向はまさにそのとおりと言うべきで
最初(22年位前だったか?)は「アマチュアの創作のための発表の場」という高い志をかかげ、
「コミック界の快挙」としてマスコミ等にも好意的に扱われた元祖コミケも、規模が大きくなるに従い
参加サークルも次第に商業主義に陥り、創作よりはパロディ、健全よりはやおいと、低きに流れていった。
イベントに参加しだして長い茉莉だが、初期のイベントはオリジナルとパロディの比が7:3位で圧倒的にオリジナル主体だったのだ。
だが売り上げはパロディサークルの方が断然よく、オリジナルサークルは「所詮人のふんどしで相撲をとってるだけ」と
パロディを莫迦にしつつ、やはり羨望と嫉妬の眼差しでパロディ本が売れていくのを眺めていた。
「キャプテン翼」のブレイクでオリジナルとパロディの比率が逆転。以後、オリジナルが主流となることはなくなる。
そして幼女連続殺害のMがコミケでアイドル本を出していたというのが発覚した頃から、
マスコミもイベントに批判的な目を向けるようになり、「オタク」という言葉が=コミケ=同人誌を指すようになる。
最近は「設定だけ借りてストーリーはオリジナルで〜す」とか言って売ってるものもあるが、そんな莫迦なことはない。
物語は世界を構築するのが大仕事なのであって、その部分を借りてしまえばどんなに「オリジナル」と言い張ろうと
それは所詮パロディに過ぎないのではないかい?
そりゃ中には痛快に面白いパロディ本があるのも確かだが、たいていのパロディ作家は売れそうなストーリーを渡り歩き、
「○○×△△ウケで〜す」とか言って「これはわたしの作品に対する愛なんです」とかコメントしている。
茉莉はそういう「愛」が大っきらいだ。
「売るために流行りものに手をつけ、Hシーン描きました。プライドなんてありませ〜ん」と言えば素直なものを、
愛などという言葉で自分の物欲・名誉欲を、誤魔化し飾ろうとする態度が醜い。
おお! 今日はかなり過激に攻撃しているかも。やっぱ自分の本が売れないとなると、人間ささくれだってくるものだ。
しかしどんなに本が売れなくても、茉莉は決して所謂パロディ本は作らないだろう。
マンガ描きは世界を作るのが楽しいんだし、今さら人の作品を模写しても不毛だし面白くないしな。


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