|
|
|
3rd Feb.2000
鬼はかわいそう。
桃太郎には宝物を奪取され、一夜で橋をかけても騙されて報賞の約束を反古にされ、妻請いをしても炒った豆で追い払われる始末。
だいたい「鬼」とは日本の先住民族だという。
黥面(入墨をした顔)の風習が無気味に見えたので、鬼の顔は赤だの青だのになったらしい。
大和民族は畿内にクニを築き、そこから先住民を駆逐して版図を東西に広げ、統一朝廷を作ってしまった。
神話に出てくる熊襲や蝦夷と呼ばれた「蛮族」は、そうやって圧迫された古来からの民俗に他ならない。
北海道に住んでいるアイヌ民族はその先住民族の一部族だというし、薩摩が近世まで独特の風習を守ってきたのも、
熊襲の末裔だったからではないか? 征夷大将軍なんてのは元々、関東方面侵攻軍司令官だ。
縄文時代から弥生時代への移行にしても、出土する土器や日用品、風習の隔たりに、民族的な交代があったんじゃないかという「ふし」もある。
そういうのは学会ではまだまだ認められてないし、もちろん教科書にも載ってない。
でも、歴史というのはどこの国でもいつの時代でも侵略と分裂融合の繰り返しだったから、日本だけがそういうのとは無縁だったとは思い難いし、
そう言う歴史を良い悪いというんじゃなく、日本という国の文化を考える上でその事柄を事実として捕らえておいた方が、
古来からの神話や歴史書をもっと有機的に解釈できるんじゃないかなと思うわけだ。
たとえこれらが憶測だったとしても、「古代大和民族の侵略」なんてのは、ひとつのお話としてワクワクしてくるし、想像が膨らんでくる。
いずれ描こうと思っている長編マンガも「先史文明」がテーマだし、自分的なストーリーのネタはけっこうこんなとこにあったりしている。
ああ? なんだか「落ち」のない話になってしまったけど、こういう異説文化論はこれからもちょくちょく書いていきますんで、
それに対する異論反論賛論のある方は遠慮なく掲示板にでも書いて下さい!
6th Feb.2000
展覧会三昧の一日。相方の磨悠子さんとまず小倉そごうに「きたのじゅんこ展」を見に行く。
この日はきたのじゅんこさんが来場して実技を見せてくれたり、質問なんかができる時間が設けられていた。
これまで水彩色鉛筆はあまり縁のない画材だったが、やっぱり作品を見たり実際に描いている所を見たりすると刺激になる。
今度久し振りにうちの水彩色鉛筆を引っぱり出して描いてみよう!
午後からは田川に移動して、友人のまっちゃんと田川美術館で開催されている「少女マンガの世界展」を見る。
これは一昨年から全国を巡回している美術展で、去年の春に長崎に来てその時に見に行ったんだが、あまりによかったので近くの
田川に来たのを幸いにまた見に来たもの。
成田美奈子の超丁寧な仕事振りはまったく驚嘆ものだし、個人的に山岸涼子の「日出る処の天子」の厩戸の王子にはラブラブだし、
美内すずえのカラーも本で見るより原画はずっと綺麗でそつがなく、さすが大ベテランという印象。
自分が描く絵のジャンルに近い人たちの原画を直接見れるということで、とても勉強にもなり刺激にもなる展覧会だった。
「絵を描こう!」という意欲が、昔に較べて薄れてきた気がする今日この頃。
こうして刺激を積極的に求めて、自分を奮い立たさないとこのまましぼんでしまいそうで怖くなる。
う〜ん。年とったんかな? ううう〜〜。
8th Feb.2000
むらさき可憐さんの写真集の打ち合わせで、Takayaさんのスタジオに行く。
夕方可憐さんが帰った後から明け方まで写真の話で盛り上がってしまった。
デジカメもこのところ300万画素超の製品をどこのメーカーも次々に発表しているし、EOSもとうとうフラッグシップの1Vが出た。
ぼくの使っているCanonはEOS3だが、耐久性や基本性能はともかくとして、EOS3とEOS1Vでは機能的には
あまり差がなかったのでちょっとホッとしたところ。
デジカメは秋にCanonからEOSKissかEOS3000ベースの廉価版の一眼レフタイプが出そうな気配。
自分的予想だと370万画素で定価180,000円というところか?
ちょっと食指が動く。またカメラ貧乏かも・・・
10th Feb.2000
実はここ2週間ばかり暇だった。
新しくドメインを取ったのでWebの引っ越し準備やPRESENTsの原稿などで個人的には忙しい日々が続いているのだが
仕事的には結構無頼をかこっていたかも知れない。
でも昨日今日でバタバタと依頼が舞い込み、また忙しい日々が来そう。
暇な時が続くと「もうどこからも仕事が来ないんじゃないか?」と妙に不安になってしまう。
自由業の悲しさ。
12th Feb.2000
早いもので去年の今日とてもお世話になっていた先輩イラストレーターが亡くなってちょうど1年。
午後一番はその一周忌のお参りに伺った。
その後はなんとなく不謹慎とは思いつつも、久し振りの姫の撮影。
今日の姫は約束どおりの田園詩の深紅のドレスにボンボンの髪飾り。相変わらずの姫ないでたちだ。
昼食の後、小倉駅裏のEIMや砂津港をあてなく廻りながらの撮影。ロケーションはいまいちだったが、天気は憎たらしい程の快晴で
髪にの照り返しがとっても美しいので、135mmのソフトフォーカスレンズでぼかして撮ってみる。
途中から姫ご持参のチョゴリに着替えてAIMの中でゲリラ撮影。店先でぱっとストロボ光らせてはそのまま撮り逃げしていった。
近いうちに「綺麗なお姉様フォト」は再開する予定だが、姫の写真はそのトップを飾ることになりそう。
でも・・・ 「綺麗なお姉様フォト」なんてダサダサなネーミングじゃなく、もっといかした名前ないですかね?
夕方からは磨悠子さんと合流して「耕治」という中華料理店に約束だったエビチリを食べに行く(もちろん他にも注文したけどさ)。
姫はホームページでも大先輩で、いろんなノウハウを教えていただいた。
「小説を載せるのもおもしろい」と言われ、そういえばもう完結してしまっているけど後日談を書きたい小説のネタがあるので
今のアップロードが一息ついたら、久し振りに小説書くのもいいかも。お楽しみに!
16th Feb.2000
ここ1週間ばかり天気がよくて春の訪れさえ感じさせる陽気だったが、またぐっと冷え込む日々に戻ってしまった。
それなのにモデル撮影とは間が悪い。
野外撮影はあまりにも寒すぎるので、門司港レトロの室内で撮ることにする。
その後は小倉のAIMに移動して撮影。なんだか12日とほとんど同じパターン。
夕食はモデルと食べる予定にしていたが土壇場でまかれてしまうし、風邪もひいてしまうし、
仕事もバタバタと入ってきて、すっかり予定が狂ってしまった。
18th Feb.2000
姫は「踊る大捜査線」を正月に見て以来、織田っちにはまっているらしい。
今日の電話でも事あるごとに織田っちの話を聞かされた。
「HPに織田っちのレポートが載ってるんだけどすっごく面白いの! ぜひ読んで見て!」
とURLまでメールで送ってくる始末。まあ確かに面白い記事だったけどさ。
ぼくの感想では、それは織田っちの言動が面白いんではなく、
レポーターの織田っちの分析と描き方が面白いんじゃない? って内容。
こんな風に芸能人にはまり込んでる姫を、ぼくは今まで見たことがなかったので、ちょっと意外で新鮮な驚き。
芸能人に入れ込んでいる人って、なんかパワーがみなぎりまくっているって感じがして、(姫いわく「全開」)
共感が持てる芸能人ならまだしも、自分的にまったくツボにはまっていない場合は、
あまり周りにパワーをまき散らされても困ってしまう。
…と言いつつぼくはといえば、ミュージックステーションに出演していたシャルロット・チャーチを見損なって超落胆。
あ〜あ! 見たかったな〜! シャルロット。
超かわいいし歌だってうまいんだから! 毎日CD聞きまくりなのにぃ!
…って、なんか高校生レベルの会話をしてるって感じぃ。な〜んかぁ、頭悪〜っ!
20th Feb.2000
北九州美術館では毎年この時期「院展」が開催される。
ここ数年行きそびれていたが、今年は最終日の今日、行くことができた。
「院展」とは日本美術院が年1回公募する日本画の展覧会で、今年で再興84回目を数える由緒あるものだ。
「公募」といってもその同人には、東山魁夷亡き後の日本画壇をしょって立つ存在の平山郁夫をはじめとして、
過去に下村観山、横山大観、奥村土牛、岡倉天心等々のそうそうたる面子が作品発表していった展覧会なわけだから、
日本画としては最高峰の公募展である。
「日本画」というとやはり花鳥風月だろうと思うだろうけど、最近の日本画はなかなか題材をあちこちに広げて
それなりに時代の潮流に乗ったものになっていて、決してカビ臭い作品ばかりというわけでもなくなっている。
…といいつつも、「あ! この絵いいな」と思った作品は、断然花鳥風月を題材にした物が多いのは事実だ。
「日本画って、なにを基準にして「日本画」とするの?」
と一緒に見た人から質問されたが、その境界はあいまいで、ぼくには断言できる自信がない。
「顔彩や岩絵の具を使う」とか「洋画は空間の中に対象物を置き、日本画は線によって対象物を区別する」
という分類の仕方もあるが、洋画でも近代以降は平面的表現(元は浮世絵の技法だったりする)を取り入れたりしているし
顔彩で描いても洋画のような日本画も多いし、花鳥風月は洋画でも描くので具体的な線引きは難しい。
だが、自然の景観や生き物を描いていても、日本画と洋画ではその視点がまったく異なってくる。
その差こそが日本画のアイデンティティーだと、ぼくは感じるのだ。
鴨や野菜等を描いた洋画のたいていは、猟の獲物だったりとか自分の家禽の自慢だったりという絵である。
日本的環境で育った人ならば、血のしたたった死骸になった猟の獲物等を描いた洋画を見て、
「美しい」とか「心が和む」という風には感じないだろう。
「花鳥風月」に対する思い入れが日本人と西洋人では大きく違うからだ。(勿論これは一般論だ。念のため)
西洋人の歴史は自然を征服する歴史だ。
自然を従えるために文明を進歩させ、自分の都合で自然を変えてきた。
洋画を見ていて気がつくのは、例え自然を描いたものであるにしても、それがどことなく造られた景色だということだ。
その自然の中には必ず人間が存在する。人の気配があるのだ。
どんなに人物を点景的に扱っていても、主役は人物。自然は観察する人間がいて、はじめてその存在を許されている。
日本画のような、「小川のせせらぎに紅葉の葉が一枚」のような、そこはかとない自然の情景といった絵はまず見られない。
それに対して日本人の歴史は自然との調和だ。(近世以前に限る)
四季折々の自然の営みを慈しみ、生活を自然に合わせ、その恵みを利用する。
日本画に花鳥風月が多いのも、そういう自然の移ろいに対する、素直な驚きや畏敬、愛情の現れだ。
雪に埋もれた笹の根元にうさぎがうずくまっている絵を、日本人なら「可愛い」と思うだろうが
西洋人は「おいしそう」と思うということである。
それは農耕民族と狩猟民族の違いからくる自然観なのだろうが、結局日本人の本質は農業にあるわけだ。
日本は米が通貨の換わりをしたという、世界でも稀な国なのだ。
近世以降、特に第二次大戦以降の西洋化を目指した日本は、その本質を捨て去ろうとしている。
わずか50年で日本の2660年の歴史は大きく揺らいだ。
敗戦のトラウマは日本人のプライドを破壊し、去勢し、西洋文明に対して卑屈なまでの劣等感を植え付けてしまった。
結局絵画が文化の本質を顕しているものならば、今の日本画が洋画との融合(従属にも見える)に
傾いているように見受けられるのも、また然りといったところだろうか。
しかしどんなに西洋文明に追従してみたところで、根っこまでしみ込んだ日本人の性質はそう変わるものではない。
「日本人は所詮貧乏な農耕民族である」
「日本人は所詮外国に出たことのない、ちんけなムラ的島国意識の民族である」
ということを、日本人は自覚するべきだ。
日本人に「大陸的雄大さ」とか「グローバルな世界観」なんてのは似合わない。
日本の歴史は、箱庭のような島のなかでの猫の額のような土地の奪い合いだったし、
藝術にしても、盆栽のようなちっぽけな風景に対する美意識だったり、紙と木の文化だったりするわけだ。
どんなに外国から閉鎖的だとか特殊な社会構造だとか批判されても、日本人はそういう日本の根っこから出なくていい。
つまんない背伸びからは、結局つまんない当用漢字的「芸術」しか生み出せないのだ。
「日本人は誰でも芸術家である」
特殊な日本的美意識を揶揄して、欧米人がそんな風に言ったらしいが、今の日本人はその根っこを捨てつつある。
日本的侘びさびのある枯れた配色の妙は、目立たんがための商業主義的赤青原色のケバい色彩で塗り潰され、
「間」の美学は、前衛の名を借りたくだらないオブジェで、隙間なく埋め尽くされようとしている。
天性の芸術家である日本人に嫉妬する欧米人の「日本文化破壊計画」は、もう間もなく成就するだろう。
根っこの枯れた木はいずれ立ち腐れしてしまうということを、みんなは気づいていない。
ここまで書いて、最近は新しい流れがあることに気がついた。
エスニックブームだ。
日本的でも欧米的でもない、この東洋の美意識が、洋服やアクセサリーを手はじめとして、
とりあえずはファッション関連から徐々に日本の土壌に浸透してきている今日この頃なのである。
そして同じようにファッション面でも、純日本的な色彩やデザインを今風にアレンジして身につける流行がチラホラ見られる。
これらはバブルの勝利で育った若者がこれまでのひがみ根性もなく、
西洋文明も東洋文明も同じはかりにかけて選択できるようになる兆しかも知れない。
ぼくとしてはどんな外国文化も吸収して、それなりに日本化してしまう日本文化の懐の深さをやっぱり信じていたいところだ。
以上が今日見た院展の主な感想である。
27th Feb.2000
今日は福岡マリンメッセでのイベント。 …だったがさんざんな一日だった。
まず相方の磨悠子さんが風邪で倒れ、一人でイベントに行くことになる。
いなくなってわかる相方のありがたみ。
店番はひとりでしないといけないためヒョコヒョコ遊びにも行けないし、もちろんコスプレ写真撮るどころではない。
今回のイベントでは新刊もないし、リーフレット位は作っていこうと前夜頑張ってはいたが、途中から「逃げ」にはいって
買い置きのいちごでいきなり夜中にジャムを作りだすという奇っ怪な行動。
しかもそれが明け方までかかってしまったためイベントには遅刻するし、リーフレットもできないというというていたらく。
イベント終了後、Takayaさんと新さんに手伝ってもらい姫の撮影会。
そのあと姫と今日閉店の田園詩に服を見に行ったが、お目当ての服はもう売り切れ。
しかも「今日はもう帰らないといけなくなりました」と、姫にまですかされてしまい、夕食はさみしく唐揚げですませる。
まったく… うち悲しがれて眠りについた。
28th Feb.2000
福岡から来たカメラマンのTakayaさんを、北九州のお勧め撮影ポイントに案内した。
どんなに偉ぶっても所詮ぼくはアマチュアカメラマン。プロの意識にはやっぱり程遠い。
いろいろ勉強になった一日だった。
その夜は久し振りのホームページ更新。
4年に一度の2月29日(「にんにくデーだってさ。某餃子屋に言わせると)に合わせてイラストページをアップする。
|
|
|